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伊勢湾の釣魚・真鯛
「真鯛のプロフィール」
真鯛は神世の昔から、日本人と関わりの深い魚である。
それは、日本神話に登場する海幸彦、山幸彦の話しの中に、山幸彦が失った鈎の在
処を海神が魚を集めて問うと、「唯赤女(アカメ=タイ)此口病のありて来ずと、 ま
うす」と言い、その後山幸彦は鯛の口に引っかかった鈎と海神の娘の豊玉姫を得る 事
になるとある。
他にも、愛知県南知多町篠島では、伊勢神宮に献上品として干鯛 「御弊鯛(おん
べだい)」を羽織袴の正装で運ぶ行事や、鯛をかたどった御輿を担いで海に入る、 豊
浜の鯛祭りはこの地方のばかりか全国的にも有名神事である。
もっと身近な所では、昔から婚礼の祝宴には焼き鯛が付き、大相撲の千秋楽には優
勝力士が手にする大鯛と、とにかく日本人と真鯛の関わりは、鯛(たい)がめでたい
に繋がるとして祝儀には欠かせない魚だ。
一方、釣りに関しては、TV番組や新聞雑誌の特集に真鯛を取り上げれば、他の釣り
ものに比べ、視聴率や購読数が増えると言われている。
それほどまでに、日本人がイメージする真鯛は、姿、形、色、さらに味と、なにを
取っても欠点のない理想的な魚で、まさに魚の王様である。
その真鯛は、スズキ目タイ科の魚で、大きなものは体長1.2mの記録が残ってい
るが、通常は数10cm。
水温の低い冬は水深のある深場で越冬し、水温が上がる春先に産卵のため浅場に移動
してきて産卵を終え、初夏から晩秋まで水深30m〜70m程の岩礁地帯の中層や下
層に棲み、冬の訪れと共に水温が下がれば再び深場へと向かう。
「真鯛の釣法」
新鯛の釣り方は、全国各地でそれぞれ独特な釣法があるが、昨今はオキアミを用い
たコマセ鯛釣りが幅を利かせ、TVや新聞雑誌に登場するのはもっぱらこの釣法ばか
りである。
そこで今回の真鯛釣法は、伊勢湾に昔から伝わる伝統釣法のウタセ真鯛釣りを紹介
しよう。
この釣法は自然とともにある釣りで、海から取ってきたエビ(ウタセエビ=昔は帆
船で帆に風を受け、瀬を打つようにエビを取った所から命名された)を刺し餌と撒き
餌に使用し、海中に撒いたウタセエビに鈎に刺したウタセエビを同調させて釣るの
が、この伝統釣法のウタセ真鯛釣りであり、海から取ってきたエビを海にコマセとし
て撒くのだから自然環境を壊すことなく、まさに自然に優しい釣りである。
さらに、この釣りが出来る背景には、海中に惜しげもなく撒く程のエビの漁獲量が
あると言う事であり、全国的に見ても活これほどエビの漁獲量がある海域は他には見
あたらず、それほどまでにこの伊勢湾は自然の恵み豊かな海だと言えよう。
さて、釣り方に話しを戻そう。
この釣りの特徴は越えなければ成らない三つの難関があり、その一つとしては、胴
突の3本鈎を標準仕掛けとしその鈎に餌のウタセエを刺すのだが、この刺し方が初心
者には少し難しくやっかいである。
ポイントは、エビの口の先端部を鈎先で軽く刺して探っていると、抵抗なく鈎先が
入る穴(口から頭部付け根のケンに通じる道)がある。
その穴に鈎先を刺し込み、エビの臓器(通常脳ミソと言われている)を避け頭部の
ケンの付け根部に鈎先が左右に外れることなく1mm程出る様に刺せれば、この釣り
の技術面の3割程度はクリアー出来た事になろう。
そして、次なる難所は、仕掛けの全長が長い事に加えて枝ハリスも長い事にある。
それは、ハリスの長さが1ヒロから1ヒロ半(1.5m〜2.25m)程あり、幹の
間隔も2m〜3mが必要になる事から、全長は捨て糸部を含めれば6m以上に成って
しまう。
従って、仕掛けの取り回しは竿の長さでは補うことは出来ず、水面まで仕掛けを巻き
上げたら、後は手だ手繰り上げる事になり、手繰り寄せた仕掛けの捌きが悪ければ絡
んでしまうためだ。
この二つの操作が上手処理出来るように成れば、もう残る難所としては技術面の真
鯛のポイントに仕掛けを運ぶ(送る)テクニックだけである。
それは、コマセに撒いたウタセエビが潮流に応じて留まる場所が違い、早い潮流で
あれば潮に押され船からは遠くの海底付近になり、潮流が緩やかであれば船の近くや
船下から中層となる。
すなわち、コマセのウタセエビの居る所が真鯛のポイントとなる訳で、 そのポイン
トに仕掛けを運ばなければ真鯛は釣れないのである。
それには、潮流と使用するオモリのバランスや、タナ決めの技術が要求される事に
なるが、そのテクニックのノウハウは次回詳しくご紹介しよう。
次回はウタセ真鯛の釣り方を中心にお伝えします。
お楽しみに・・・・
[伊勢湾の釣魚・真鯛](続1)
さて、今回はウタセ真鯛釣法第三の難関、仕掛の送り方からご紹介しよう。
真鯛釣りは全国各地にそれぞれ伝統的な釣法が存在するが、今やオキアミコマセの
真鯛釣法は一番ポピュラーな釣り方であろう。
このオキアミコマセの真鯛釣法の場合、コマセのオキアミは死んでいて泳ぐ事はな
く潮に流され帯状のコマセの層を形成するため、そのコマセの層にフカセ仕掛を同調
させる事でタナ取り(タナ攻め)は比較的簡単に出来ると言えよう。
しかし、ウタセ真鯛釣法は生きたエビをコマセに用いるため、コマセのエビの効く
場所、つまり、エビが留まる場所を想定してその場所に仕掛を送らなければ成らな
い。
そこで、エビの効く場所(捕食層)を探るには、フカセ仕掛より胴突仕掛の方が
効率的で、この仕掛を用いる事で垂直方向のタナは広く探れる。
一方、潮に押されたエビが水平方向(潮下方向)のどの場所で効いているのかを探
るためには、船下から仕掛を送り込み、捕食場所を探らなければ成らない。
つまり、ウタセ真鯛釣法でのタナは海底から上層への垂直方向と、船下から潮下へ
の水平方向の二方向を探らなければならないのだ。
従って、その二方向の交わる所がタナとなるのだが、何時までも同じタナを釣って
いる訳にはいかない。
それは、潮の流れや風の吹きようでポイントとなる場所(タナ)は刻々と変化して
いき、たとえば、潮が緩めば船下近くの中層部がタナと成ったり、潮が速まれば潮下
遠くの低層部がタナと成ったりする訳だ。
また、乗合船の場合は座る場所によって水平方向や垂直方向に広範囲に探れる釣座
と、糸が送られず重いオモリで垂直方向のみを探る釣座が生じる。
そのため、その釣座に応じた釣方が必要となり、それを無視すればたちまち他の釣
り人とオマツリと成ってしまう。
このように表現すると非常に難しく感じるが、基本的な釣り方としては次の手順と
なる。
「釣座が潮下側の場合」
1)トンバセ釣法(低層から中層を主に探る)
@潮の流れに緩やかに押し流される程度のオモリを用いて、海底まで仕掛を沈め潮流
に応じた糸フケを出す。
目安としては、潮が速ければ5〜10mと多めに出し、潮が緩ければ2〜3mと
少なめに出す。
道糸が潮流を受けオモリが海底を這うように押し流されていく。
Aやがて、糸フケが無くなりオモリが海底から浮き上がる。
B再度、道糸を送り込み@Aの操作を繰り返し船下から100m程は探って見よう。
2)フカセ釣法(中層から上層を主に探る)
@潮流に応じた比較的軽いオモリを使用し、水深の2/3ほど道糸を一気に送り出し
て置く。
Aやがて、ランダムに沈んでいくオモリと道糸が潮流を受け張ってくる。
B道糸を再び10〜15m単位で一気にみ送りアタリを待つことを繰り返し、100
m程探って見る。
3)シンダチ釣法(荒根の低層を主に探る)
@海底の根が洗い場合に有効な探り方で、トンバセ釣法との違いは糸フケを出さない
で仕掛を張り気味に潮下
方向へ探って行く。
Aオモリが浮き上がった分だけ道糸を張り気味に送り、再度着底させ潮下に仕掛を
送って行く。
「釣座が潮上側や胴の間の場合」
1)胴突フカセ釣法(高いタナを探り大型狙いに有効)
@潮流に押し流されない重いオモリを使用し海底まで仕掛を沈める。
餌の無くなり具合により捨て糸の長さを調節する。
目安としては、下鈎の餌が時々無くなる程度のタナを維持する。
A捨て糸を長めに取った場合は、穂先を上下させ仕掛を張ったり緩めたりする胴突フカセ で誘いを掛ける。
この場合には、隣の釣り人との間隔が送り込みの目安の距離となる。
このように、釣座や潮の状況に応じた釣り方が釣果に繋がる訳だが、釣座はともかく
潮の状況に対応出来るようになるためには、ある程度の経験は必要となる。
以上、大まかな仕掛の送り方をご紹介したが、ウタセ真鯛釣法のキモとタックルに付
いては次回お伝えしよう。
次回は知れば得するウタセ真鯛釣法秘密のポイントと、タックルをお伝えします。
お楽しみに!!
伊勢湾の釣魚・真鯛VOL.8 (続2)
先回はウタセ真鯛釣りでの基本的な仕掛操作をお伝えしたが、要するに、その日
そ
の時の真鯛の活性状況に応じた探り方をしなければ釣果は望めない訳だ。
そこで、更なる高度なテクニックを述べて見よう。
例えば、餌取りが多いところで真鯛を釣らなければ成らない状態の時は、比較的重
いオモリを用いて海底まで一気に仕掛を沈め、着底と同時に上層に仕掛を巻き上げて
くる。
ところが、単に巻き上げてくるよりジギングの要領で仕掛を巻き上げてくる方が 真
鯛に対するアピピール度は増はずだ。
そこで、この操作のポイントとしては、真鯛の方が餌取りより遊泳力が勝っている
事を考慮しなければ成らない。
従って、餌取りが餌を追えない速度で誘い上げる事と、この操作で出るアタリは誘いの 途中より竿を止め、次の誘いに入る瞬間に出るから必ずポーズタイムを設ける事
だ。
他にも、アタリがなかなか出ない場合に多くの釣り人が陥る失敗として、タナを高く保持 出来ない事が上げられる。
これは、せっかく高いタナに仕掛があっても、アタリが遠いとついつい仕掛を下げ
ていきアタリが出る下層を釣る。
しかし、この場合に出るアタリのほとんどが餌取りのアタリであり、 この状況をい
くら繰り返しても良型の真鯛との出会いは期待できない。
つまり、いくらコマセを用いているからと言っても、魚はその場所に居続けて餌を
捕食しているのではなく、ある一定のサイクルでコマセの効いている場所を回遊 しな
がら捕食をしている。
そのため、コマセの中に仕掛がある事は当然であるが、魚の生態や習性から判断 し
ても、真鯛は下層に小型魚、その上に中型魚、そして上層には大型の雌雄のペアーが
その群を統率していると言われている。
そこで、高いタナを保持する事により、大型(良型)真鯛との出会いが 実現するわ
けだ。
また、ウタセ真鯛に胴突仕掛を用いる理由は、広範囲のタナを探る事に適している
ばかりか、真鯛は下方から上方へと餌を追うため、胴突仕掛の下鈎の餌を捕食したと え鈎掛りしなくてもその上方の鈎に掛かる確立は高いと言えよう。
以上、良型真鯛の釣り方を述べたが、小型真鯛(チャリコ)の釣り方はこの限りで
なく、 鈎掛りさせるにはアワセも要求される。
それは、小型魚は低層の餌取りと共存していて、成長するためにはそれらの魚と餌
を奪い合わなければならず、捕食方も他の魚の捕食方を学習し、大型真鯛のように
エビを噛みダメージを与えた後食い直すのではなく、エビに飛びつき噛みちぎる。
そのアタリはゴッゴッと比較的大きく連続的に伝わるが、そのままでは鈎掛りは し
づらく、連続するアタリにアワセが必要と成ってくる。
このことからも、大型と小型では釣り方もタックルもいささか異なるのだ。
そこで小型はともかく大型真鯛ねらいのタックルを解説しよう。
捕食から鈎掛りのプロセスは、大型(良型)真鯛が餌をくわえた後に反転した走
る。
真鯛が方向転換し走るまでの余裕を先糸が請け負い、徐々にブレーキを掛ければ、
口内の鈎が上顎から滑り脇に返ってほっぺたにガッチリかかる。
鈎掛りした真鯛は強い引き込みを見せるが、瞬間的なショックは先糸が緩衝し、 そ
れより引きが強ければ、ドラックが滑りハリス切れを防具。
後は、竿の反発を活かし真鯛を浮き上げれば、水圧変化により真鯛のおなかが張り
水面に浮かぶ。
この操作を行うタックルのコンセプトとしては、竿はブレーキの本体。
リールのドラックは、クラッチの役割を果たし、PEラインに直結する モノフィラメ
ントの先糸はショックアブソーバーである。
「真鯛のタックル」
竿→1.8m〜2.1m先調子(オモリ負荷10〜100号)。
釣り座により長竿を持参することにより、探る範囲が広がる。
私の場合は、ジギングロット(ジグウエイト28〜70gと42〜113g)
を使い分け、釣り座による長竿使用の場合は、磯竿の6号クラス5.2mか 投げ竿の4.5m。
リール→PEライン5〜6号が200mほど巻けるもので、 モノフィラメントライン
の道号数を10m直結しておく。
水深計があれば便利。
ロッドキーパー→空巻き上げや、遠くへ送った仕掛回収には必需品。
オモリ→潮流の変化に対応するため10〜100号と幅広く持参。
仕掛→胴突3本〜5本仕掛を技量により使い分ける。
「鮮度保持」
生け簀となる器を持参し釣り座の足下周りに置き、エアーレーションや海水を循環
させ活かしておく。
活かすためにはエアー抜きの技術は取得しておく事。
生け簀が使用できない場合は、釣り上げた都度生き締めをしクーラーボックスの 水
氷(海水)に入れ、帰港時に水氷を捨て直接氷が魚体に触れないように持ち帰る。
「お気に入りの料理」
刺身、塩焼き、煮付けとは鮮度を考慮した魚の食べ方ではあるが、私のお気に入り
は
一に鯛飯、二に鯛蒸しである。
一の鯛飯は、下処理をした真鯛を1匹釜で炊きあげ、炊きあがった時点で鯛を取り
出して、身をほぐしてから釜に戻し蒸し上げる。
二の鯛蒸しは、蒸籠(セイロ)で蒸し上げるのが本道ではあるが、簡単な方法は、
ホットプレートを活用し、プレートに昆布を敷きその上に下処理をした真鯛乗せ、 周
りに豆腐やエノキの他好みの野菜をあしらい塩を適宜ふりかけ蒸し上げる。
湯気が出たら、日本酒を鯛と野菜類全体にまんべんなく振りかけ、再度蒸し上げ、
魚の身に火が入ったらできあがり。
後は、ポンズに紅葉おろしで召し上がれ。
さて、次回は、鯣烏賊釣りをお伝えします。
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