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伊勢湾の釣魚・黒鯛
「黒鯛のプロフィール」
黒鯛は古く縄文時代の昔から漁獲されていた。
それを裏付ける資料として各地の貝塚から黒鯛の骨が数多く出土している。
これは、黒鯛は他の魚より人間の生活域近辺、つまり、日本各地の沿岸や河口の
汽水域に生息し、スズキなどと共に人間と深い関わりがあった事に他ならない。
また、黒鯛の呼び名は全国各地で異なり、代表的な呼び名の一つに関西地方では
昔、泉州(大阪府)を茅淳(チヌ)といい大阪湾を茅淳の海と呼んでいた。
従って、その周辺での黒鯛の漁獲が多かった事から関西では黒鯛をチヌと呼んでい
る。
他にも、関東のカイズの呼び名や、この地方では最近あまり聞かなくなったが、
ズイの呼び名などがあげられる。
体形は真鯛に似ているが、体色が銀色かかった黒色のため、黒鯛の名で呼ばれる。
幼魚期は全て雄だが、2〜3年の若魚では雌雄両性となり、4年魚以上で雄、雌
どちらかに分かれて行く。
生息域は内湾や河口のみならず、沖のやや浅い岩礁周りや波の荒い磯周りまで広く
分布しているため、黒鯛の釣り方はその場所に応じて内湾のイカダ釣りから船釣りや 磯釣りなどと多くの釣法がある。
「黒鯛の釣法」
伊勢湾口や渥美沖で黒鯛を専門に釣らせる所は、知多半島の師崎・大井・
日間賀島・篠島などがある。
釣り方は大別して二つあり、春ののっこみ時期と秋の落ちの時期があり、 春は産卵
のために浅場に来る大型の成魚釣りに対し、秋は2〜3年のハゴ (この地方の若魚の呼び名)を中心に釣る。
その二つの釣り方はそれぞれ異なるが、今回は春ののっこみ黒鯛をお伝えし、
秋のハゴ釣りはまた別の機会にお伝えする。
では、その釣り方であるが、この時期の黒鯛釣りの餌である外湾で取れる
アカシャエビに、鋳込み鈎(鈎軸に鉛をオモリとして鋳り込んだもの)を
用いて鼻掛けに刺す。
ところで釣り方をお話する前に、この釣りは他の釣りではあまり馴染みのない
鋳込み鈎を用いるため、その理由に付いて触れておこう。
黒鯛と真鯛の捕食方を比較してみればわかる事だが、真鯛がゴツゴツと明確(陽性)な アタリに対し、黒鯛はモゾッとかグゥー(陰性)とした小さく微妙なアタリで
ある。
そのため、鈎にオモリが付く事でハリスにテンションが掛かり、
小さく微妙なアタリが捕らえやすく成るばかりか、仕掛けの投入時に起こりやすい
餌の回転をも防ぐ目的で用いている。
さて、いよいよ仕掛け投入だが、潮流に応じたオモリで仕掛けを海底に沈め、
着底したら速やかに1mから2m程底を切り黒鯛のアタリを待つ
(通常はこの釣り方が一般的)。
しかし、ここで黒鯛の捕食法とその生息環境に付いて考えてみよう。
黒鯛の生息している所には、ベラやカワハギなどの餌取りも共存していて、 その環
境での優位性は魚体の大きさに関連しているようだ。
つまり、魚体の大きい黒鯛は小さな魚(餌取り)を押さえ込み、 その上層に君臨し
ている。
ところが、いくら上層といっても水面や水深の半分といった訳ではなく、 海底から
5m程上までが黒鯛の捕食層の上限と推定される。
従って、前記の方法で仕掛けを海底まで沈めれば、餌取りの層の中に仕掛けが入り
しかも餌取りの中を往復する事になる。
そのため、付け餌はたちまち餌取りに奪われてしまい,空鈎のまま黒鯛のアタリを
待ち続けるハメに成らないだろうか?。
そこで、仕掛けを海底まで沈める事なく、捕食層の上限(海底から5mほど上)で
仕掛けを止めでアタリを待ち、アタリがなければ50cm刻みで徐々に下層にタナを
探って行く。
すると、上方でアタリがあればそのアタリは黒鯛である確率が高いばかりか、 捕食
層が高ければ遊泳層から捕食のため上方に動く距離は大きくなり、 自ずと明確なアタ
リとなって現れる。
その時点で、大きくアワセを入れ鈎掛りさせれば、後は魚体に応じた引きをかわし
黒鯛を浮き上がらせれば釣り人の勝利となる訳である。
さて、黒鯛を攻略し勝利を勝ち取るためには、タックルの設定がこの釣りでは大き
なウエイトと言っても過言ではないであろう。
そのタックルについては、次回お伝えしよう。
来週は、黒鯛のタックルです。
伊勢湾の釣魚・黒鯛(続)
黒鯛は同じ鯛の仲間でありながら、食味、釣り味、見た目もマダイの上に 行くこと
が出来ない。
しかし、黒鯛の名誉のために言っておこう。
見た目は真鯛のそれにはかなわないし、釣り味も真鯛の雄々しさに比べれば、 やや
パワー不足かな?。
だけど、9月頃に沖で釣れる黒鯛の味は、並み居る真鯛なんか目じゃない・・・。
それほどまでに、同じ魚でもこれがあの黒鯛かと思うほど、美味しいのである。
さて、その黒鯛のタックルに関して、今回は詳しくお伝えしよう。
冒頭に少し触れたが、真鯛のアタリは大きくハッキリしていて、 釣り味としては
雄々しく陰陽の区別をすれば陽であろう。
しかし、黒鯛のアタリは小さく微妙であるが故に、釣り方も繊細さが要求されるた
め陰のイメージを感じてしまうが、言い換えればそれだけマニアックな釣りと言えよ
う。
そのため、テクニックを要求される釣りであるが、それ以前にテクニックが 生かせ
るタックル、特に竿の設定条件を考えて見よう。
まず、アタリは小さく手元には伝わらない。穂先の微妙な変化見て取りアワセが必
要。 鈎掛りしたら最初の突っ込みは強く細いハリスで良型魚をあしらわなければ成ら
ない。
と、簡単にアタリから取り込みまでの流れを表して見たが、つまり、 細いハリスを
用いて手前アワセを入れ、鈎掛りさせた黒鯛が障害物に逃れる足を止めて、 竿の反発
で浮かせるための竿が必要だと言う事である。
従って、小さく微妙なアタリを取るためには穂先の感度が良い先調子のもの。
その穂先の変化を見るには、長竿では目視しづらいから短竿となる。
「黒鯛のタックル」
竿→1.8〜2.1m先調子、オモリ負荷15号程度
(ルアーロッドを併用する場合は1/8〜1/4OZ.
のファーストテーパー)
リール→ラインキャパがPE4号100m程度巻ける小型軽量なタイプ。
ライン→微妙なアタリを取るには当然モノフイラよりPEを使用すべきで、
強度的にはPE1号でも2号でも良いが、この黒鯛釣法ではポイントとなる
狭い場所に仕掛けを運ばなくては成らいため、ラインに潮の抵抗を受けさせ 仕掛けを送る関係からPE4号を使いたい。
仕掛け→鋳込み鈎の胴突1本仕掛けOrマダカがいる場合は胴突2本仕掛けを使用す
る。
オモリ→比較的潮流の緩やかな場所ではあるが、釣り座や潮の速さを考慮し 10〜30号
(大型乗 合船の場合は20〜50号)を持参の事。
ロッドキーパー→最新型の船の小縁はキーパーの開口部が90mmあれば ほとんど取り付けに 問題は生じないが、旧型船の場合は160mmが必要に成るケースも
ある。
「鮮度保持」
出来れば船の生け簀で帰港時まで活かす事が出来れば良いが、手前生け簀を持参し
エアーレーションして置き、帰港時に活き締めをして持ち帰る事をおすすめする。
それは、この時期の黒鯛は真子や白子があり、あまり氷で絞めすぎる事は避けた
い。
活き締めした後、帰宅まで時間を要する様であれば、クーラーに氷を吊り下げ魚体
に直接氷が触れないようにして持ち帰る。
さほど(2時間程度)時間を要しない場合は、氷を使用しなくても問題はないと思
われる。
「お気に入りの料理」
身は勿論、刺身でも塩焼きでも食べ方はお好み次第だが、なんと言ってもおすすめ
料理は、この時期にしか食べられない真子と白子だろう。
白子をサっと湯通しして薄く切りポンズ醤油で食べる。
真子は甘辛く煮付けて食べる他、真子をほぐして鶏卵と一緒に炒って、好みにより
とんがらしや醤油などで味付けしたものを、熱々のご飯にふりかけたお茶漬けは如何
だろう。
さて、来週はマダイ釣りをご紹介しよう。
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